【2025年最新】未払い残業代を取り戻す!請求方法から証拠集め、相談先まで初心者向けに徹底解説
「毎日遅くまで働いているのに、給料がほとんど変わらない」「自分は管理職だから残業代は出ないと言われた」——。そんな悩みを抱えていませんか?もしかしたら、それは「未払い残業代」が発生しているサインかもしれません。
この記事では、法律の専門家でなくても分かるように、未払い残業代を取り戻すための具体的な手順をイチから徹底解説します。ご自身の状況をチェックし、正当な権利を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。
1. あなたは大丈夫?未払い残業代が発生する典型的な5つのケース
まず、どのような場合に残業代が未払いになりやすいのか、典型的なケースを見ていきましょう。会社側の誤った認識や、意図的なごまかしが原因となっていることも少なくありません。

ケース1:「固定残業代(みなし残業代)制」の誤った運用
「うちは固定残業代制だから、いくら残業しても給料は同じ」と思い込んでいませんか?固定残業代制度は、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う制度ですが、万能ではありません。以下の場合は無効となり、別途残業代を請求できる可能性があります。
- 雇用契約書や就業規則に、固定残業代の金額と、それが何時間分の残業に相当するかが明記されていない。
- 固定残業代を除いた基本給が、地域の最低賃金を下回っている。
- あらかじめ定められた固定残業時間を超えて働いた分の残業代が支払われていない。
- 基本給の中に固定残業代が含まれており、通常の賃金部分と明確に区別できない。
これらの要件を満たさない固定残業代制度は、法律上無効と判断される可能性が高いです。その場合、支払われていた「固定残業代」は単なる手当と見なされ、残業代は1円も支払われていないことになるため、全額を請求できる可能性があります。
ケース2:「管理監督者」だから残業代は不要というウソ
「課長」「店長」といった役職名だけで「管理職だから残業代は出ない」と会社から言われるケースも典型的です。しかし、労働基準法で残業代支払いの対象外となる「管理監督者」と、社内での役職である「管理職」は全くの別物です。
法律上の「管理監督者」と認められるには、以下の全ての要件を実態として満たす必要があります。
- 経営者との一体性:経営会議に参加するなど、経営に関する重要な職務と責任、権限を持っているか。
- 勤務時間の裁量:出退勤時間などを自分で自由に決められ、会社から厳格な時間管理をされていないか。
- 地位にふさわしい待遇:役職に見合った高い給与や手当が支払われており、一般社員よりも優遇されているか。
単に「店長」という肩書だけで、実際には遅刻すればペナルティがあり、アルバイトの採用権限もなく、給与も一般社員と大差ない場合は「名ばかり管理職」であり、残業代を請求する権利があります。
ケース3:「裁量労働制」の不適切な適用
裁量労働制は、実際の労働時間ではなく、あらかじめ定めた時間働いたと「みなす」制度です。しかし、この制度を適用できる職種は法律で限定されており、誰にでも適用できるわけではありません。
例えば、システムエンジニアやデザイナーなどの専門業務型、企業の企画・立案・調査・分析などの中枢部門で働く人が対象の企画業務型などがあります。これらに該当しない営業職などに適用している場合は違法であり、実労働時間に基づいた残業代を請求できます。
ケース4:会社が労働時間を正しく把握していない
労働時間を管理するのは会社の義務です。タイムカードを押させた後に仕事をさせる「サービス残業」の強要や、そもそも勤怠記録をつけさせない、といったケースは明らかに違法です。労働者が自分で労働時間を記録している場合でも、それが証拠として認められることがあります。
ケース5:各種手当を残業代の計算から除外している
残業代を計算する際の基礎となる賃金から、会社が不当に一部の手当(例:役職手当、資格手当など)を除外しているケースです。法律で除外が認められているのは、通勤手当、家族手当、住宅手当などごく一部に限られます。それ以外の手当は基礎賃金に含めて計算し直す必要があり、差額を請求できます。
2. 自分でできる!未払い残業代の概算計算方法
実際にどれくらいの未払い残業代があるのか、自分で計算してみましょう。正確な金額でなくても、大まかな額を把握することが交渉の第一歩になります。
【計算式】
未払い残業代 = 1時間あたりの基礎賃金 × 割増率 × 残業時間
Step 1: 「1時間あたりの基礎賃金」を計算する
まず、自分の時給を計算します。月給制の場合、以下の式で計算します。
1時間あたりの基礎賃金 = (月給 – 除外手当) ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間
- 月給:基本給 + 諸手当(役職手当、資格手当など)
- 除外手当:通勤手当、家族手当、住宅手当など、法律で定められた一部の手当
- 1ヶ月の平均所定労働時間:(365日 – 年間休日) × 1日の所定労働時間 ÷ 12ヶ月
例:月給30万円(うち住宅手当3万円)、年間休日125日、1日8時間労働の場合
(300,000円 – 30,000円) ÷ (((365日 – 125日) × 8時間) ÷ 12ヶ月) ≒ 1,620円
Step 2: 「割増率」を確認する
次に、残業の種類に応じた割増率を確認します。労働基準法で定められた割増率は以下の通りです。
| 残業の種類 | 割増率 |
|---|---|
| 法定時間外労働(1日8時間・週40時間を超える分) | 25%以上 |
| 法定時間外労働(月60時間を超える分) ※中小企業も2023年4月から適用 | 50%以上 |
| 深夜労働(22時~翌5時) | 25%以上 |
| 法定休日労働(法律で定められた週1日の休日) | 35%以上 |
※時間外労働が深夜に及んだ場合、25% + 25% = 50% の割増率となります。
Step 3: 未払い残業代を計算する
最後に、Step1とStep2で算出した数字を使って、実際の残業代を計算します。
例:1時間あたりの基礎賃金が1,620円の人が、月に30時間の時間外残業(深夜・休日労働なし)をした場合
1,620円 × 1.25 (割増率25%) × 30時間 = 60,750円
もし、毎月の給与明細にこの金額に見合う残業代が記載されていなければ、未払いが発生している可能性が高いです。
3. これがなければ始まらない!請求に必須の証拠集めマニュアル
未払い残業代を請求する上で、何よりも重要なのが「客観的な証拠」です。 請求する側(労働者)が、残業の事実を証明する責任(立証責任)を負うためです。 在職中であれば比較的集めやすいので、退職を考えている場合でも、辞める前にできる限り多くの証拠を確保しておきましょう。

最重要!労働時間を証明する証拠
これらは証拠としての価値が非常に高いものです。コピーや写真でも構わないので、必ず手元に残しておきましょう。
- タイムカード、勤怠システムの記録:最も強力な証拠です。 会社に開示を求めるか、スマホで撮影するなどして記録します。
- 業務日報:上司の確認印などがあれば、さらに証拠価値が高まります。
- 会社のPCの利用履歴:ログイン・ログアウトの時刻が記録されています。
- メールの送受信履歴:業務時間外に送受信したメールは、その時間に仕事をしていた証拠になります。
- オフィスの入退室記録:セキュリティカードの記録などです。
これも有効!補助的な証拠
上記の証拠がない場合でも、諦める必要はありません。以下の記録を組み合わせることで、労働時間を証明できる可能性があります。
- 手書きの勤怠メモや日記:始業・終業時刻、休憩時間、業務内容を毎日具体的に記録します。単体では弱くても、継続的な記録は証拠として認められやすくなります。
- 交通系ICカードの利用履歴:駅の入場・出場時刻が記録されています。
- 家族への帰宅連絡メールやLINE:「今から帰る」といったメッセージの送信時刻が参考になります。
- 上司からの残業指示メールやチャット:具体的な業務指示が残っていれば有力です。
給与・契約内容を証明する証拠
残業代の計算根拠を示すために、以下の書類も必要です。
- 雇用契約書、労働条件通知書
- 就業規則、賃金規程
- 給与明細(過去3年分):時効が3年のため、できるだけ多くの期間分を集めましょう。
4. 誰に頼る?状況別のベストな相談先
証拠がある程度集まったら、次のステップに進みます。自分一人で会社と交渉することも可能ですが、専門知識を持つ第三者に相談することで、よりスムーズかつ有利に解決できる可能性が高まります。相談先にはそれぞれ特徴があるため、ご自身の状況に合わせて選びましょう。
| 相談先 | 特徴・メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 労働基準監督署 | ・無料で相談できる ・労働基準法違反があれば会社に是正勧告(行政指導)をしてくれる |
・個人の代理人として動いてくれるわけではない ・支払い命令などの強制力はない ・証拠が明白でないと動いてくれないことがある |
| 弁護士 | ・代理人として会社との交渉や法的手続きを全て任せられる ・労働審判や訴訟になった場合も安心 ・回収できる金額が大きくなる傾向がある |
・相談料や着手金、成功報酬などの費用がかかる ・無料相談を実施している事務所も多い |
| 労働組合(ユニオン) | ・個人でも加入できる外部ユニオンがある ・団体交渉権があり、会社側は交渉を拒否できない ・弁護士よりも費用が安い場合がある |
・組合費がかかる ・法的な強制力はないため、交渉決裂の場合は別途弁護士に依頼する必要がある |
| 労働条件相談ほっとライン | ・厚生労働省の委託事業で、無料で電話相談できる ・匿名での相談が可能 ・夜間や土日も対応している |
・あくまでアドバイスや情報提供が中心 ・直接的な解決にはつながらない |
「まずは無料で情報収集したい」という方は「労働条件相談ほっとライン」や「労働基準監督署」へ。
「会社と直接交渉したくない」「法的手続きも視野に入れている」という方は、最初から「弁護士」に相談するのが最も確実でスピーディーな解決策と言えるでしょう。
5. 急いで!残業代請求の「時効」は3年
未払い残業代請求で最も注意すべきなのが「消滅時効」です。残業代を請求する権利は、給料日の翌日から3年で時効によって消滅してしまいます。
これは2020年4月1日の労働基準法改正によるもので、それ以前の給料日に支払われるべきだった残業代の時効は2年です。 しかし、2025年現在では、ほとんどのケースで時効は3年と考えてよいでしょう。
つまり、何もしなければ、1ヶ月経つごとに1ヶ月分の請求権が失われていくということです。例えば、2025年11月に請求する場合、2022年11月分より前の残業代は請求できなくなってしまいます。
時効の進行を止める(完成を猶予させる)方法
時効が迫っている場合でも、進行を一時的にストップさせたり、リセット(更新)したりする方法があります。
- 催告(内容証明郵便の送付):「未払い残業代を支払ってください」という内容の請求書を、郵便局が内容と日付を証明してくれる「内容証明郵便」で会社に送付します。これにより、時効の完成を6ヶ月間猶予させることができます。 この6ヶ月の間に、訴訟などの法的手続きに移行する必要があります。
- 裁判上の請求:労働審判の申し立てや訴訟を起こすことで、時効の進行は止まります。そして、判決などが確定すれば時効はリセットされ、新たに10年間となります。
- 承認:会社側が未払い残業代の存在を認める(例:「支払います」という念書にサインする)と、その時点で時効はリセットされます。
時効が近い場合は、すぐにでも内容証明郵便を送るか、弁護士に相談して手続きを進めることを強くお勧めします。
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6. 会社との交渉から法的手続きまでの流れ
実際に残業代を請求する際の、一般的な流れを解説します。
Step 1: 内容証明郵便で請求書を送付
まずは交渉の第一歩として、計算した残業代の金額、その計算根拠、支払期限などを記載した請求書を内容証明郵便で会社に送付します。 これにより、請求した事実が公的に証明され、時効の進行を一時的に止める効果もあります。 弁護士に依頼すれば、弁護士名義で送付してくれるため、会社に対して「本気である」という強いプレッシャーを与えることができます。
Step 2: 会社との直接交渉
請求書を受け取った会社側から、何らかの反応があるはずです。支払い交渉に応じる場合もあれば、請求を無視したり、反論してきたりする場合もあります。この段階で支払いに応じ、合意に至れば解決となります。合意した場合は、後々のトラブルを防ぐため、必ず合意書を作成しましょう。
Step 3: 労働審判
交渉が決裂した場合、次の手段として「労働審判」があります。 これは、裁判官1名と労働問題の専門家2名が間に入り、原則3回以内の期日で話し合い、迅速な解決を目指す手続きです。 訴訟よりもスピーディーで、多くのケースがこの段階で調停(和解)成立によって解決します。
Step 4: 訴訟(裁判)
労働審判の結果にどちらかが納得できず、異議申し立てをした場合、手続きは自動的に通常の民事訴訟(裁判)に移行します。 訴訟は解決までに時間がかかる傾向がありますが、証拠に基づいて法的な権利を確定させることができます。
7. まとめ:行動しなければ何も変わらない
最後に、未払い残業代請求に向けたチェックリストを確認しましょう。
- □ 自分の労働形態が未払い残業代の発生しやすいケースに当てはまるか確認した
- □ 残業代の概算額を自分で計算してみた
- □ タイムカードやメールなど、労働時間を証明する証拠を集めた
- □ 雇用契約書や給与明細を確保した
- □ 3年の時効が迫っていないか確認した
- □ 弁護士などの専門家への相談を検討している
未払い残業代の請求は、労働者に与えられた正当な権利です。この記事を読んで「もしかしたら自分も…」と感じたなら、それは行動を起こすタイミングです。まずは手元にある証拠を確認し、専門家への相談から始めてみてはいかがでしょうか。勇気ある一歩が、あなたの状況をきっと好転させるはずです。
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Sources
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